この所何かと忙しく更新できませんでした。(^^ゞ
今回は炭疽病です。
さて、炭疽病と言う病気がありますが、これが結構最初のうちはなんだか分からずに苦労しましたが、今回の事例もはっきりと炭そ病と決まったわけでは有りません。
最も害を起こしている可能性が高い物が炭疽病菌だろうと言うことです。
症状は葉に染みのような斑点が出来てそれが次第に広がって行き、薄い葉などでは穴が開いてしまい、茎に達すると株全体が枯れてしまうと言う物です。
これもカビの一種によって引き起こされますが、高温多湿の環境で多く発生します。
どの病気もそうですが、炭そ病と一口に言っても病気の原因となる菌には色々種類が有り、植物によって関係する菌の種類が違うようです。
食虫植物は原因菌が特定されていないので、どの植物と同じ菌が付いているのかが分かりませんが、同じ炭そ病でも菌の種類によっては効く薬と効かない薬があるので、薬を使いながら有効性を確かめる必要が有ると思います。
写真のサラセニアは炭疽病だと思われる症状で枯れた物ですが、同じような症状の物を研究機関で調べてもらったことが有り、その葉からは Glomerella属、Venturia属、Sclerotinia属という三つの菌が見つかりました。
Glomerella属菌はイチゴなどの炭そ病菌で、Venturia属菌は梨の黒星病、Sclerotinia属菌は野菜などの菌核病の原因菌です。
当初はバラの黒星病が原因ではないかと思い、そう言った薬剤を使いましたが余り効果が出ず被害が拡大しました。
同じ黒星病でも、梨の物とバラの物は原因菌が違うので、はっきりした後は有効性を確認して薬剤を選ぶことが出来、その後なんとか病気を収束させることが出来ました。
最初は黒星病を疑っていたため黒星病に効く薬ばかりを使いましたが、あまり効果が無く、原因菌の中に炭そ病があることが分かってからは炭そ病に効果のある薬剤を使うことで目に見えて効果が上がりました。
このとき私が使った薬剤はゲッター水和剤と言う水和剤で、これは通常灰色カビ病に使う薬ですが、炭そ病や菌核秒にも良く効く薬です。
農薬なので、町のホームセンターなどには置いていないため、農薬の手に入る農業関係の店で買うことになります。
これと同じような効き目の薬が トップジンMゾルになりますが、やはり効き目はゲッターの方が上です。
その他にもオーソサイドR水和剤やベンレートR水和剤、ビスダイセンTM水和剤 なども使いましたが、どれも明確な効き目と言うには弱いような気がしました。
トップジンMゾルはそれなりに有効性は有るようだったので、手に入りやすいこの薬を使う方がいいかもしれません。
サラセニア以外にも炭そ病と思われる病気で枯れる物がディオネアです。
これも一度広がると、中々直らず結構植物に被害が出ます、ひどい場合は一角の鉢が全滅と言うこともあり、安易に考えると大きな被害を出してしまいます。
症状としては展開する前の葉を含めて、先端の方から黒くなって枯れていき、重症の物はそのまま枯れてしまいます。
写真の物は薬剤が効いて症状が出なくなったものですが、葉の周りが黒くなっているのが分かります。
このように新芽の先が次々と黒く変色して来たり、新しい捕虫葉の一部がいきなり黒く枯れるような症状が出たら注意してください。
他にもネペンがかかることもあるようですが、過湿や湿度不足などで株が弱った時に葉が黒く枯れてくる事が有り、見つけ次第黒い部分を切り取って薬剤を散布することが必要です。
病気編ですが、病気が出るのはネペンが一番多いようで、結構苦労している人がいるようですが、普通の栽培ではそれほど多くは出ないようです。
次に多いのがサラセニアで、結構治りにくい病気があったりします。
そこで今回の病気は「ウイルス病」
食虫植物の場合はサラセニアやネペン、ハエトリソウなどで報告があり、ピンギなどもかかるようです。
ウイルスの種類も沢山あり、基本的にはどんな植物でもかかる病気です。
人間でもインフルエンザなどのウイルスによる病気にかかりますが、植物でも同じようにウイルスに感染するといろいろな問題が発生します。
ウイルスの種類によって病状が出るところが違うので、それを上手く使った物が八重咲の花や斑入りなどの植物になったりします。
ただ、問題になるのがウイルスに一度かかると直らないと言うことです、ウイルスに侵された植物は廃棄するしかないのです。
ただウイルスにかかっても種にはウイルスは入らないと言うことと、枯れることはないのでしばらく栽培して種を取ればなんとか維持できるようです。(私は確かめたことはないんですが・・^^; )
食虫植物の場合はモザイクウイルスが特に問題になりますが、これに感染すると葉にまだら模様が現れ、特に強毒なものは葉がよじれてしまってまともな形にならなくなります。
モザイクウイルスによる症状はどれも同じような感じで、葉が変形してまともな形にならないと言う物がほとんどです。
そんな株を見つけたときはとりあえず隔離して様子を見てください。
このウイルスの感染は基本的には接触感染で、近くに植物があるだけでは感染しません。
感染ルートは主に二つで、一つは虫によるものです。
アブラムシのような吸汁性害虫が、ウイルスを持った植物を吸汁した時に口の周りにウイルスが付くようです、その後に移動して、新しい植物で吸汁すると付いていたウイルスが感染するということです。
もう一つはハサミなどの刃物による感染で、ウイルスを持った植物を切ったはさみで次々植物を切ると切った切り口から感染してしまうということです。
これは食虫植物同士だけではなくその他の植物から簡単に感染するので、周りに有る植物にウイルスを持った植物がないかどうか日ごろからよく観察することが重要です。
植物の中にはウイルスに感染してもあまり表に症状が出てこない植物があり、そんな植物を切った後のサラセニアなどを切るとたちまち感染してしまいます。
ウイルスは単体では長く生きられないため、植物の細胞の外に出たものはそれほど気を使わなくても大丈夫ですが、枯れた植物でも細胞が破壊されていない場合は半年以上生存することがあるので、ウイルスに感染した植物の植えてあった後はしばらく何も植えないほうがいいと思います。
通常アブラムシなどが伝染させるのは24時間程度と言われています、ハサミなどの刃物も水洗いした後で日にちがたっていれば特に問題ないと思います。
虫による感染はとにかく近くにウイルスを持った植物を置かないと言うことと、虫が付かないようにすることしかありません。
通常オルトランなどの薬剤を良く使いますが、これは虫が植物に付かないと効果がない薬剤なので、吸汁性害虫が吸汁したときには手遅れと言うことになります。
ウイルス病にかかるのはサラセニアが最も多いようですが、ほとんどの場合栽培条件の悪化で生理現象からモザイク状の斑が入るようです、このような場合は環境が改善されれば元に戻ります。
写真の物がそうですが、ただこれが弱毒のウイルスによる物かどうかは良く分かっていません。
ウイルスの場合は新芽が小さい時からすでにモザイク状になっています、そうでない場合は次の葉からまともな葉が出るようになるかもしれません。
病気編2回目ですが、今回は「ウドンコ病」
植物に小麦粉を振り掛けたように白くなるので、こんな名前が付いています。
これにかかる植物は限られていて、かかるのはほとんどが Utricularia の花茎です。
写真は U.dichotoma の花茎ですがなぜかこの植物だけは毎年この時期になるとウドンコ病が付きます。
ただ、これ以上ほとんど広がらないので、何かのついでに薬剤散布をするぐらいで見つけても放置しています・・・。^_^;
その他、まれにセファロタスやピンギがかかることがありますが、他の植物がかかることはほとんど無いと思います。(少なくとも私は見たことがない・・^^; )
薬剤もよく効くので、発見したら早めに薬剤散布をすることで被害も無く対処することが出来ます、これを放置すると植物が真っ白になり最後には枯死することがあります。
高温乾燥で通気性が悪い環境で出やすいということですが、温室内などでそれなりに湿度が有る場合でも発生するので、梅雨前の気温の高い時期に多発することがあります。
それ以外は気温の高い夏場によく発生するので、注意した方が良いでしょう。
私は ダコニール1000 などを使っていますが、広範囲に発生することがあまりないので、ベニカXファインスプレー が有ると便利です。
さて、今回から病気編です。
虫の害と違って細菌やカビが相手なので中々厄介な物です、園芸用の殺菌剤も色々売っていますが、原因菌に効く物でないと効果がありません。
症状の似た物や植物によって症状が違う場合もあり、原因菌を特定することが難しい病気もあり、かけた薬が効かなく植物が枯れてしまうこともあります。
また、植物内部に入った菌は薬剤が効きにくいので、病状が進むと手遅れになることもあるので、早期発見早期治療が重要になります。
食虫植物はあまり病気にかからない物があり、種類によってはほとんど気を使わなくても大丈夫と言う物もあります。
そんな食虫植物たちですが、唯一全ての植物で問題になる病気があります。
それが立枯病です。
植替えや環境の悪化で植物が弱った時に、根の部分から細菌が入り地際から植物を枯らすと言う最も多発する物です。
様々な菌によって引き起こされる物で、食虫植物の場合はほとんど原因の究明がされていないので、中々原因菌の特定は難しいところです。
細菌の進入で枯れた植物はほとんどの場合助からないので、患部を切り取って葉挿しや株分けで残す方法が取れなければそのまま処分した方がいいと思います。
この場合用土もかなり長い間細菌が残るので、再利用する場合は熱処理や薬剤の処理をしたほうが安全です。
これらの菌の多くは土壌細菌と呼ばれて土や水で感染します、大きな容器で腰水をしている場合は次々に感染する可能性があります。
ほとんどの菌は活動が盛んになるのが20℃~30℃の温度なので5~6月ごろに多発します、また多湿を好む物も有り、梅雨時に最も被害が出やすくなります。
中には未分解の有機物が多いと細菌の濃度が上がって感染しやすくなる物もあるので、用土にピートなどが多い場合は腰水に頼るより、散水で土中の有機物を出来るだけ流しだすような栽培方法が良いと思います。
また、その多くが弱酸性から中性で活動する性質があるので、食虫植物の生育環境は要注意と言う所です。
特にサラセニアに多く発生して、ある日突然葉が水分を失って干からびてしまい、鉢から抜いてみると根元が腐っていると言うことがあります。
またメキシカンピンギなどでは、中心部分が茶色く変色して腐ってしまいます。
ハエトリソウなどでも、地上部だけ残して地下の部分が消滅してしまうような枯れ方をします。
これらの物は原因菌の特定が難しいことがあるので、出来るだけ広範囲の細菌に効く殺菌剤を発生時期にあわせて撒いておくと予防できることがあります。
また植替え後には散水の変わりに薬液をかけることで被害を減らすことが出来ます。
私が良く使うのは ダコニール1000 と トップジンMゾル 、ダコニールは予防的に使いますが、両方ともほとんど薬害が無く多くの細菌に効果があります。
また、鉢数が少量であればモスピラン・トップジンMスプレー900ml でもいいと思います。
サラセニアの場合は葉が萎れた時点でほぼ復活不可能ですが、株が大きく沢山芽が有る場合は子株などが助かるかもしれません。
メキシカンピンギは腐った部分をカッターなどで切り取ってから、殺菌剤をかけて葉挿しすることで復活するかもしれません。
ネペンなどは怪しいと思ったら、細菌が株全体に回って枯れる前に、頂芽の部分を早めに切り取って挿し木をすることで、株を残すことが出来るかもしれません。
ただほとんど緊急避難的は対処法なので、植替え後などで根が傷んでだ時や新芽の成長が緩慢になったときは注意した方がいいと思います。
重要なのは用土が古くなった時や水はけの悪い用土では、細菌の繁殖を助長するので、普段からの管理に注意することです。