和名のモウセンゴケ(毛氈苔)、いわゆるDrosera rotundifoliaです・・・、まさか知らない人はいないでしょうね・・・。^_^;
日本でのDrosera の基本種で、どこでも見られる一番一般的な種類ですが、これを栽培している人はそれほど多くないように思います。
自生地は沿岸部の低湿地から2000m級の山岳地帯、高層湿原まで、様々な所に自生していますが、いざ栽培してみると、中々栽培しにくい植物だと言うことが分かります。
特に夏場の暑さに弱いようで、花を咲かせた後に枯れることが良く有ります。
この時期はちょうど花が終わったころになるので、まだ株が残っていますが、真夏には自生地でもかなり小さな株になっています。
私もいくらか栽培していますが、やはり夏場はかなり小さくなって枯れる株もあるので、タネをしっかり採って株の更新をするようにしています。
これは三重県産の物ですが、鉢の土が古くなって状態が悪くなってきています、そろそろ新しい鉢に移動しないといけませんね。
こちらは千葉県産ですが、花を沢山咲かせたために、だいぶ小さくなってしまいました。午前中しか直射日光が当っていないので、余り大きな株になっていません。
これは群馬県産の物です。かなり標高が高いところの物ですが余り夏場に衰弱しません。
理由は分かりませんが、この系統は余り沢山花を咲かせることが無いので、花に取られるエネルギーが少ない為かもしれません。
通常低地の物は2~3本以上の花茎を上げて十数個の花を咲かせます、ところがこの系統は1~2本の花茎で、十個程度の花しかつけません。
かなり大きい株ではもっと沢山の花を咲かせると思いますが、この程度の株ではそんな物です。
やはり標高が高いところは、夏場に衰弱する可能性も少ないので、無理に花をつける必要も無いんでしょうか・・・。
ついでにもう一つ、これはアルバです。
要するにアントシアニンを持たない植物で、これの他にはD.capensis とD.filiformis しか私は知りません。
三重県の自生地で発見した物ですが、赤いモウセンゴケが沢山ある中にこの緑があると非常に目立ちます。
モウセンゴケが上手く栽培できない理由の一つは、この植物が常に新鮮な水が流れている所に自生していることに由来するかもしれません。
栽培下では用度を多湿にして高温にすれば、当然鉢の中には有機物が分解されたがスが溜まり、酸素が少なくなってきます、このことがこの植物を弱らせる原因なのかもしれません。
ただ、だからと言って、無機質な用土ばかりで植えても、成長か良くありません、やはりそこにはいくらかの養分が必要になってきます。
栽培上注意することは・・・。
①通気性の良い用土で植えること。
②いくらかの有機物を混ぜること。
③鉢内の水が滞留して酸素不足にならないようにすること。
④鉢の温度を上げないような工夫をすること。
⑤全日照が基本だが、鉢の温度が上がるようなら日照時間を減らすか、遮光する。
こんなところでしょうか。
* 用土はミズゴケでも問題ないわけですが、ミズゴケの部分が常に水に浸かっていると腐敗しやすくなるのと、毎年春には新しい物で植え替える必要は有ります。
特に鉢の温度が上がると、酸素不足やガスの発生が多くなるので、ここが一番重要かもしれません。
単独で植えることより、サラセニアや、花菖蒲と言った、水を吸上げる量が多い植物をいっしょに植えると鉢内の環境を適度に保ってくれるので、栽培しやすくなると思います。